カタックについて

タックはインドの宮廷舞踊です。 インド特有のオリエンタルで優雅な動き、エキゾチックな衣装、リズミカルなステップなどが楽しめます。 ヨガの精神にも通じる心と体の動きの調和、姿勢や骨格の改善も期待出来ます。

カタックの始まり
カタックは北インドの古典舞踊です。紀元前500年インド最古の舞踊の文献「ナティヤシャーストラ」まで遡ることができ、ヒンドゥーのカタカと呼ばれる語り部の舞踊劇が起源と言われています。 中世以降はイスラムのムガル帝国の王の庇護の元、宮廷舞踊として発展してきました。 ヒンドゥー教とイスラムの2つの文化が融合した踊りです。

 どんな舞踊?
カタックはヒンドゥーの神に捧げる祈りの舞としての要素、そしてイスラム宮廷舞踊としての華やかで高い技術的な要素、を併せ持っています。またヒンドゥー教の神話や神に対する祈りを表現する演技的な表現があったり、西方ペルシャ文化やイスラム神秘主義スーフィーの旋回舞踊の影響を受けていたりします。 カタックは2つの文化が出会い、うまくよい要素が融合されてきた歴史的背景を持つ舞踊です。 一説によるとカタックはジプシーによって西に伝えられフラメンコの元になったともいわれています。 基本姿勢は直立です。素足で細かなステップを刻みます。上半身は感情表現をします。手だけでなく指を使ったムドラ(印)や目線などを重視します。

カタックは師弟制で伝承されてきた舞踊です。現在でも口伝で師から弟子へと継承されます。師弟関係は重要で必ず一人の師匠に弟子入りします。踊るときに足首に着ける鈴グングルはグングルプージャという儀式で師匠に触れていただいて命を吹き込まれます。師匠から踊りの上達と踊っている間守っていただけるように神様に祈りながら触れていただき師弟の絆を結びます。そしてグングルは絆の御印お守りになります。

 カタックの音楽と楽器
この舞踊で大切なのは「リズム」です。 リズムは一定の周期を持つ「ターラ」と呼ばれています。16拍子(ティンタール)から10拍子(ジャプタール)14拍子(ダマールタール)などがあります。この一定の周期を変化にとんだリズムで分割していきます。一見無造作なリズムのようですが、実はとても綿密です。大原則として1拍め(サム)に戻ったときに1つのリズムパターンは終了します。踊り手は足に100〜200個の鈴(グングル)をつけてステップを踏み、太鼓(タブラ)とリズムを併せます。

旋律は「ラーガ」と呼ばれ、拍子周期を刻むようにレヘラと呼ばれる同じ旋律を繰り返します。シタールやサーランギやハルモニウムなどのインドの楽器が用いられます。

 正しい姿勢
踊る時の姿勢はとても重要です。
体幹の筋肉をしっかり保持して関節に負担をかけること無く、背骨をまっすぐに立てて立ちます。骨盤の傾きや背骨の生理的湾曲を理想的なものに近づけていきます。自分の体のくせを少しずつ見直し舞踊の姿勢を作っていくことが大切です。
クラスではヨガやピラティスを取り入れて骨格改善をしていきます。

 タタカル
カタックでは足を打楽器のように使いリズムを刻みます。
カタックは裸足で踊りますので足の裏やつま先、かかとを上手に使って床を踏みしめさまざまな音を出します。また、足首に付けている鈴も同時に演奏されます。このようなフットワークをタタカルといいます。

 ハスタク
手の動きはハスタクと呼ばれ、柔らかく優雅なものです。そしてどんな手の動きの中にも感情や想いが反映します。
手を動かした方向に目線を向け、そして心もそちらに動かします。
またムドラと呼ばれる指での表現方法がありインド舞踊独特のものです。ムドラを使って具体的な事柄を手話のように演じることもあります。

 アビナヤ
カタックの演技的な部分をアビナヤといいます。手の動きやムドラや表情に気持ちを込めて演じます。

ホーリー(インドの色かけ祭)の様子を演じるアビナヤです。

 ヨガ
カタックは体幹の筋肉が重要なのでパワーヨガが効果的です。また姿勢改善にもヨガが有効です。身体の動きを通して心を見つめていく必要があるという点でも、ヨガとの共通点があります。

 衣装
練習時はクルタやクルティと呼ばれるインド服にドゥパタというヴェールを付けて踊ります。

舞台での衣装はヒンドゥースタイルとムスリムスタイル2通りあります。ヒンドゥースタイルはレヘンガチュリというロングスカートに丈の短いブラウスの組み合わせです。ムスリムスタイルはアナルカリというフレアースカートのワンピースです。いずれにもチュンニーという長いヴェールをまといます。

また装飾品もたくさん身に付けます。ネックレスやイヤリングや腕輪以外に、額に飾るティカやビンディや頭に飾るパサや髪に編みこむプランタなどはインド独特のものです。